タイガーが全米ジュニアを三連覇したのは、1991年〜1993年までで、全米アマを三連覇したのが1994年から1996年までです。そして、アマとしてはやることがなくなったので、その年に大学もやめてプロ転向し、10月にいきなり二勝、世界ランクも一気に33位にまで上昇しました。
タイガーは、1975年12月30日が誕生日なので、全米ジュニアは15歳〜17歳までの3回、日本で言えば高1から高3まで、全米アマは18歳〜20歳、日本でなら大学1年から3年までの三回を勝ったことになります。但し、アメリカは9月始まりで、進学システムも日本とは違うので、タイガーが大学を中退したのは、大学二年の時だということです。9月だったら3年になっていたのかもしれません。ブッチがタイガーのコーチになったのは、18歳の時だということなので、全米ジュニアに勝った翌年からコーチになったのだろうと思われます。
全米アマを三連覇した時の最終ショートホールでは、タイガーは、目標の左を向いてフェードを打ちましたが、それは、その前からブッチとずっと練習していたショットだったそうで、それが上手く行ってピンそばに付け、それで優勝することができました。
タイガーがブッチに習いだして、最初に取り組んだのは、おそらくトップをコンパクトにすることだったのだろうと思われます。高校生の時のタイガーは、アイアンでもトップでシャフトが水平になるくらいの大きさでしたが、1994年の全米アマでは、とてもコンパクトなトップで戦っていました。その頃のスイングのトップが下の写真です。

この写真でわかるように、以前よりもかなりコンパクトなトップに改造していることがわかると思います。因みに、以前のアイアンのトップは下の画像です。

上は、15歳の頃のスイングですが、ジュニア時代のタイガーのアイアンは、大体これくらいのトップだったようです。
このように、タイガーはプロに向けての改造として、まず、トップをコンパクトにすることから始めたようです。全米アマは、毎年8月に開催されるので、タイガーはブッチのコーチングを受けて僅か数か月でコンパクトなトップに大改造し、そして全米アマに勝った、ということになったようです。
普通は、これほどトップの大きさを変えること自体、そう簡単ではないし、飛距離が出なくなったり、出ないと感じたりして、なかなか変わらないものですが、こんなふうに大胆に変えて、しかも結果をだすあたり、まさにスーパーエクストローディナリーな人だと言えますが、今日からは、そんなタイガーの1998年のスイングで、ブッチのスイング改造を検証してみましょう・・・


下の画像は、私が1998年に撮影したタイガーのスイングです。

下の画像と比べることで、改造ポイントがわかると思いますが、正面から見た感じは、あまり変わっていません。少し、背骨の右傾斜が減ったかな?といった程度ではないでしょうか?しかし、後方から見た感じはかなり違うと思います。一見してわかるのは、手と体の距離が、以前よりも遠くなったということでしょう。

そして、おそらく体の重心の前後関係も、以前に比べて前寄りになっているのではないかと思われます。
スイングにおける手のポジションというのは、誰もが悩む難しい問題です。単純に言えることは、手が体に近いと手振りのスイングになりやすく、手が体から遠いと、体で振るスイングになりやすい、ということです。もちろん、体格や筋力にもよりますが、手が体に近い人というのは、自分では体でスイングしているつもりでも、結構手に頼ってスイングしているものなのです。なぜかというと、手が体に近いと、体の回転だけでは適正なトップの位置に手が上がらないので、どうしても、手を上げる動作が必要になりやすいからです。手が体から遠い場合は、肩を適切に回転させるだけで、適正なトップの手の高さが得られるので、手ではなく体でスイングしやすくなる、ということです。
だから、タイガーの手が体から遠くなっているのは、以前よりも体を主体としたスイングに改造しようとしている、ということになるでしょう。そして、その方向性は、私的にも正しいと思います。
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